製品のコア技術は3つあります。
プライマーの設計は、ダウンロードページの1stプライマー設計支援ツールをご利用頂ければ、最近接塩基対法とGC%法のそれぞれで、Tm値の差が最も小さい最適なプライマー配列を得ることも簡単です。
(ダウンロード:1stprimeraidv2.zip )
PCR酵素は、1 kb あたり伸長時間 30 secを実現し、更に、Taqポリメラーゼの80倍の正確性を有しています。また、20 mer 以上のプライマー(Tm値 > 63°C)では、面倒なサイクル条件が不要になります。
更に、従来の3ステップPCRサイクルに比べ、1/3程度の時間で遺伝子増幅・転写・翻訳でトラブルになる非特異増幅・スメアが少なく、下記電気泳動像のように、正確かつ高速に完了します。
(*PCR酵素はオールインワンキットBCF4050に同梱になります)
His, HA, FLAG等のペプチドタグに加え、GST, Halo等の大分子量タグの鋳型もPCRで構築可能です。(プロトコル近日公開予定)
コムギ胚芽由来の翻訳液の最適化により、従来困難であった、膜タンパク質も合成が可能になり、可溶化タンパク質のほぼ全てと、膜タンパク質の合成が可能となりました。特に膜タンパク質の発現には、人工リポソームの添加は不要です。膜タンパク質の細胞膜貫通部分にはコムギ胚芽由来の脂質(膜断片)が吸着しており、可溶化発現します。
翻訳反応に調製するアミノ酸は析出の懸念がありましたが、特殊な技術により20種のアミノ酸が高濃度の1液になっています。従って、翻訳反応液の調製は、提供のコムギ胚芽抽出液とアミノ酸ミックスを混合するだけです。また、翻訳反応は、そこに転写反応で得たmRNAを投入しインキュベートするだけの簡便な混合法がご利用頂けます。サポートページに調製工程を含めた手技動画を掲載していますので、ご参考ください。
10 kDa から 200 kDa程度までの分子量のタンパク質が発現します。
左図では、光に応答して活性が変化する受容体タンパク質や、疾病応答に重要な転写因子等も活性をもって合成できています。
His, HA, StrepII, FLAG等のペプチドタグに加え、大分子量のGST, Haloタグ等もPCRで付与可能です。
左図は、サイトカイン(CSF3)のORFにN末端側にFLAGとGSTの2つのタグを付与し翻訳させた結果のFLAG抗体を用いたウェスタンブロット像です。
分子量はそれぞれ CSF3 22.3 KDa, GST 25.6 KDa (UniProtによる)です。
なお、CSF3にFLAGタグのみの場合は下記”分泌タンパク質”の項を参照ください。
これまで合成が困難であったヒトや植物の免疫反応に関与するリン酸化酵素も活性をもって合成できています。
細胞を用いた組換え発現では難しかった、細胞毒性のあるリボソーム不活性化タンパク質(rRNA N-glycosidase, トリチン)も合成できます。
分泌タンパク質・サイトカイン(granulocyte-colony stimulating factor, GCSF, CSF3)も合成できます。
細胞膜貫通型受容体キナーゼも可溶化して合成できています。
生物界に普遍的に存在し、薬剤を放出する重要なトランスポーターが、可溶化して合成できています。
2020年6月現在コロナウィルスのタンパク質(スパイクタンパク質等)は組換え発現ができませんが、無細胞合成系の当社キットでは合成頂けます。
左は、human SARS-CoV-2のReceptor-binding domain ACE2 contact residues (Accession MN908947.3 AA451-693)の合成例です。
遺伝子ご提供は日本獣医生命科学大学渋井教授のご厚意によります。
参考: